近年、モバイルバッテリーの発火や爆発などの事故が全国で相次いでいます。
ニュースでもたびたび取り上げられるように、経年劣化したバッテリーをそのまま使い続けることは非常に危険です。
モバイルバッテリーの多くには、リチウムイオン電池が使用されています。
この電池は軽量で大容量という大きなメリットがある一方、熱や衝撃に弱く、経年劣化によって発熱・膨張・発火のリスクが高まるという特徴があります。
スマートフォンやワイヤレスイヤホンなど、私たちの生活に欠かせないモバイル機器を外出先で支えてくれるモバイルバッテリー。しかし、どんなに丁寧に扱っていても、リチウムイオン電池には必ず寿命があります。
劣化が進むと「充電が遅くなる」「本体が熱を持つ」「バッテリーが膨らむ」といった症状が現れ、場合によっては発火や火災の原因になることも。
安全に使い続けるためには、寿命のサインを見逃さず、適切なタイミングで買い替えることが大切です。
モバイルバッテリーの寿命はどのくらい?

モバイルバッテリーの寿命は、使用しているリチウムイオン電池の性能や使用環境によって異なりますが、一般的には1年から2年程度といわれています。
充電回数で換算すると、およそ300〜500回のフル充電が寿命の目安です。
毎日フル充電を1回行う場合、約1〜1年半ほどで性能の低下が見られる計算になります。
ただし、これはあくまで目安であり、以下のような使い方をしていると、さらに早く劣化が進むことがあります。
- モバイルバッテリーを高温の場所(車内や直射日光下)に放置する
- 充電しながらスマホを使用する(パススルー充電)
- 0%や100%の状態で長時間放置する
- 安価なノーブランド品を使用する
リチウムイオン電池は熱に弱く、過充電や過放電によって内部が劣化していきます。
そのため、長く使いたい場合は、満充電のまま放置しない・高温を避ける・定期的に充電を行うといった日頃の扱いが大切です。
モバイルバッテリー劣化のサインと買い替えのタイミング

モバイルバッテリーは、見た目に大きな変化がなくても内部の電池が少しずつ劣化していきます。
そのため、次のような小さな異変を見逃さないことが安全に使う第一歩です。
本体が膨らんだり熱を持ったりする
最も注意すべきサインが、モバイルバッテリー本体の膨張や発熱です。
内部のリチウムイオン電池が劣化し、ガスが発生して膨らんでいる状態は非常に危険。
そのまま使い続けると発火・爆発につながるおそれがあります。
こうした症状が見られた場合は、直ちに使用を中止し、充電も行わないようにしましょう。
充電に時間がかかる、またはバッテリーの減りが早い
「以前よりフル充電までの時間が長い」「使っていないのにバッテリー残量が減っている」
このような場合は、リチウムイオン電池の蓄電能力が低下しているサインです。
すぐに使えなくなるわけではありませんが、買い替えの時期が近いと考えましょう。「以前よりフル充電までの時間が長い」「使っていないのにバッテリー残量が減っている」
このような場合は、リチウムイオン電池の蓄電能力が低下しているサインです。
すぐに使えなくなるわけではありませんが、買い替えの時期が近いと考えましょう。
スイッチを押しても起動しにくい
スイッチを押してもLEDランプが点かない、または反応が遅いといった症状も、内部回路の劣化が原因の可能性があります。
物理的な故障の場合もあるため、保証期間内であればメーカーや販売店に相談しましょう。
長期間使用している(目安:2年以上)
リチウムイオン電池には充電回数の限界があります。
おおよそ300〜500回を超えると、見た目に変化がなくても性能が落ちはじめます。
2年以上使っている場合は、安全面を考慮して早めの買い替えを検討するのがおすすめです。
モバイルバッテリーの正しい処分方法

寿命を迎えたモバイルバッテリーは、一般ごみとして捨てることはできません。
モバイルバッテリーの中にはリチウムイオン電池が入っており、誤った方法で処分すると発火や爆発の原因になる危険があります。
処分時の注意点
- ごみとして捨てない(特に燃えるごみ・不燃ごみはNG)
- 分解・穴あけなどは絶対にしない
- 膨張・発熱している場合は速やかに回収先へ相談する
テープで端子部分を絶縁する
モバイルバッテリーの金属端子部分をビニールテープなどで覆い、絶縁処理を行います。
これにより、他の金属と接触してショート(短絡)するリスクを防げます。
特に、充電用の差込口がむき出しのタイプは注意をしてください。
家電量販店やホームセンターの「回収ボックス」を利用する
多くの家電量販店やホームセンターには、小型充電式電池の回収ボックスが設置されています。
「リサイクルマーク」が付いているモバイルバッテリーは、無料で回収対象になります。
回収拠点は、一般社団法人JBRCの公式サイトなどで検索できます。
自治体やメーカーの回収サービスを活用する
自治体によっては、危険物回収の日にモバイルバッテリーを回収している場合もあります。
また、一部メーカーでは自社製品のリサイクル回収プログラムを実施していることもあるため、公式サイトを確認しましょう。
まとめ

モバイルバッテリーは便利な一方で、劣化すると事故の原因にもなり得る製品です。
1〜2年を目安に定期的な点検を行い、
- 膨張や発熱がある
- 充電に時間がかかる
- 減りが早い
- といったサインが出たら、早めに買い替えを検討しましょう。
また、処分の際は必ず回収ボックスやリサイクル拠点を利用し、安全に手放すことが大切です。
正しい知識を持って使うことで、モバイルバッテリーをより安心・快適に活用できます。